●昨年もぶどうをお買い上げいただきありがとうございました。 沢山のお客様からぶどうのご注文をいただき、本当に有難うござい ました。”美味しかった”、”珍しかった”、”来年もよろしく” と数々のお便りやらFAX、お電話などを全国からいただいた上に ご感想やご意見を伺うことも出来ました。心より御礼申し上げます。 嬉しかったことの一つに、昨年の秋、岡山へおいでになられました 両陛下にも「桃太郎ぶどう」(瀬戸ジャイアンツ)を召し上がって いただいた事がございます。 両陛下がご宿泊になられましたホテルのシェフのご依頼で、岡山の 秋の味覚をと、ぶどう、梨、柿などおことづけ致しました。 第一日のご夕食時、シェフが呼ばれてぶどうの由来を両陛下にご説 明申し上げたと早速ご連絡いただきました。大変美味しいと申され たとか。 育種を始めて35年、新しい品種としてやっと注目を浴びるように なった「瀬戸ジャイアンツ」(桃太郎ぶどう)が両陛下に激賞して いただけて、永年の苦労が報いられた感じが致しました。 21世紀のぶどうとして各方面から期待を集め始めた「桃太郎ぶど う」(瀬戸ジャイアンツ)を軸に、私の作り出した新しいぶどうの ために益々努力を続けたいと思っております。どうぞ本年もよろし くお願い申し上げます。 ●ごめんなさい、忘れてしまい… ・電話を受けていることを忘れ ・FAXをチェックするのを忘れ ・メモした紙を置き忘れ ・聞いた事を連絡するのを忘れ… 「高齢者」という言葉に逆らえない自分を認識しました。ご迷惑を おかけしたこと、お詫び申し上げます。 ●収穫後から春までの管理 礼肥…収穫の終わった樹は、翌年のために養分を貯蔵します。葉が 落ちるまでの間が大切な期間なのです。そのため、葉の健康と秋根 の発達を援助するため堆肥を与えます。 昨年は椎茸の生え終わった廃木を沢山やりました。 落葉…11月上旬・日照時間が短くなり、気温も下がると自然界の 紅葉に呼応するようにぶどうの葉も一斉に黄化~紅葉~落葉します。 そうすると翌年の春のスタート発芽が順調になります。 化学肥料を多く使っているぶどう園では、紅葉しにくく落葉が遅れ ます。そうなると次の年の発芽が遅れたり、不揃いだったりします。 紅葉の季節には絵筆を持ってスケッチできればいいなぁと思います。 品種によって様々な色に変化していくので本当にきれいです。 風で飛び散っていく葉の始末は大変ですが、集めて全部焼却しました。 整枝剪定…葉が全部落ちると去年伸ばした枝の一部を切り縮めます。 そのままにしておくと次年に出る芽数が多過ぎたり、一芽当たりの 貯蔵養分が不足したりして良い実をならせるために様々な障害が 生じます。 ぶどう棚の一定の面積にどのような枝を何年育てるかを考えて剪定 します。今年は2月の5日に剪定を終えました。 枝の切り方でぶどうの味が変わります。我が家では、より美味しい ぶどう作りを目指して長梢剪定(自然型整枝)をしています。 ●病気や害虫の防除 ぶどうの樹の皮は、松の木と同じように毎年新しい皮が生まれ、古い 皮は浮き上がります。その皮の裏側に害虫の卵や蛹や成虫などが 潜んで越冬します。 有機減農薬栽培をずっと続けているため、去年は害虫の被害が増えて 困りました。 そこで1月から3月にかけて、成木の皮剥ぎをしました。沢山の越冬 害虫を発見し退治しました。そして石灰硫黄合剤を散布して越冬病原 の消毒もしました。 今年は今まで以上に減農薬栽培が容易になると期待しています。 ●有機無農薬について 新たな法で基準が定められました。私達の力量では、残念ながら合格 ラインを通過することは無理でしょう。 私の育種として登録をとった桃太郎ぶどうは皮のまま食べるぶどう です。私自身が全く安心して食べるためにも農薬のことを常にふまえ 早くから減農薬にと努力してきました。ぶどうを植えた平成元年から その努力は始まり、 ・肥料は堆肥と酵素、微生物のみ ・農薬は普通使用される回数の1/3以下に抑える等々 ですから、我が家のぶどうは「堆肥減農薬栽培」と言い換えれば違法 にならないのでしょうか。悩み多いこの頃です。 実体験のない人々によって机上で生まれた法なのでしょうか。 「紙に書いた餅」が”有機無農薬農産物認定証”に思えてなりません。 一番いいのは消費者の皆様の現地研修会を開き、栽培の実態を見て いただき、作業等を体験していただくと納得して下さるだろうと話し ております。 店頭に並べられている農産物の何と美しいこと。”無農薬では到底作 れないのに”と分かっていても、見た目のきれいな方へ手が伸びます。 外国産の物ほど農薬の量が心配されます。それでも買ってしまいます。 ・安いからでしょうか ・珍しいからでしょうか ・欲しいからでしょうか 矛盾だらけですね。 ●農業は大丈夫でしょうか 最近の新聞屋テレビ等でご存知のように外国の農産物が雪崩のように 日本の市場に入り込んでいます。 そのため、高齢者で支えている農家の存立が脅かされ、離農・廃農 する農家が増えている現状では心配でなりません。 果物では、オレンジ・りんご・さくらんぼが打撃を受けたのは古い 話です。ぶどうもそのうち打撃を受けるでしょう。 どうすればこうした現状を打破できるのでしょうか。 我が家で月一回開いている「果樹栽培を楽しむ会」では、今年若い 人達が何組か入会され、新しくぶどう作りに挑戦したいと計画が進ん でいます。嬉しいことですが、苦労を覚悟で…と言わざるを得ない面 もあります。 こうした人達の夢を壊さないためにも花澤オリジナルのぶどうの品種 が役立つことを願って努力を続けて参ります。 皆様の温かいご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 ●今ハウスの中で新しいぶどうの芽が マスカットの香りのある瀬戸ジャイアンツを作りたいと思い「マス カット」と「瀬戸ジャイアンツ」を交配。300余りの種をとりま した。2月の初めに種をまきました。目下新しい生命達が続々発芽 しています。三年から5年したら実をつけます。よいぶどうかどうか 10年ぐらいで選抜淘汰が終わります。 もし目的に叶うものがあれば20年後に新品種として皆様のお手許に 届く予定です。どうぞお楽しみに! 「蒔かぬ種は生えぬ」の諺どおりです。 続き(第12号)を読む 前(第10号)へ戻る 第11号PDF形式