5月上旬の研究所だより
はじめに
晩霜の 注意報出る 夏日かな

春爛漫 週に2日か あとは冬

………………………………………茂

異常気象にもめげず、ジャーマンアイリスは、今年も大きな沢山の花を咲かせ、道往く人の目を楽しませています。この花が咲くとぶどうの整房やジベレリン処理によるタネナシ化 作業が一気に始まります。

管理・作業内容
1.二重フィルム保温効果
二重フィルムで保温したハウス(3号)では、開花が見え始め、花房の整形の最中です。ビニールハウスでは、夜温の高低で 生育の速度が変わります。日中は生育適温に達しますが、夜温は外気温との差は+2〜5℃程度です。発芽の始まりは、二重フィルム の保温の良いハウスは3月下旬 、一重ハウスは4月上旬です。
(写真は目的を終了した二重フィルムはずし)

2.芽かぎと摘房
発芽が始まると、1節−1芽発生が普通ですが、剪定法や樹勢が強い1節より2〜3芽発生するために、原則、1節−1芽に調整 します。1節より芽が多く出ると、養分競合と枝葉の密生による日照不足になるため、伸ばす芽の数を調節します。枝の発生方向、 花穂の有無、枝の勢力など見ながら不要な新芽をかぎ取ります。

芽かぎが終わると続いて摘房作業に移ります。残した枝に 花穂がつきます。1枝に2〜3房ついていますが、通常1枝 1房を原則として大きく育てます。そのため多すぎる房は 切り落とします。なるべく小さい内に淘汰するのが理想です。 出来れば5節目の房を残すと、養分の配分が上手くいき 美味しいぶどうになります。
3.摘心
枝の数を調整すると、残されて成長を期待された枝は更に花穂に十分な養分を送り込むため、10〜12節位に伸びた ら、先端を摘み、伸長を止めます。これだけ伸びたら1房の実を成熟させるための葉の量が確保できます。


4.房作り
2重張りしたハウスの花穂は発芽が早かったため、連休期には開花が始まります。大きな房をそのままにせず、必要粒数量、予定房重量 を考えて不要な花蕾を摘み取り、残った花蕾の発育を促してやります。(下写真:房作り後)


1房の蕾の数は2000〜3000粒に及ぶ品種が大部分 です。開花前に上の写真のように小さな花房にします。 それでも数百粒の蕾がつきます。(切り方は品種によって違い ます。)

開花すればジベレリン(植物成長ホルモン)処理をして種無し の果実になるようにします。

5.枝の棚づけ(誘引)
ぶどうの枝は、真直ぐに勢いよく伸びます。 「瀬戸ジャイアンツ」の枝は、花が咲くころまで待たなければ、触ったり当たったりしただけで 折れてしまうので大変です。風が強い日には、天窓や側窓の 開け方の違いで折れてしまいます。自然に棚へ倒せるといいのですが。 もう一息です。
6.その他のハウス管理
ア)温度調節−連休になってやっと朝夕の開閉だけで済むようになりました。

イ)灌水−5月は3日おきの灌水でよかったのですが、乾燥注意報等が続くと、ハウス内は表面がよく乾きます。乾き過ぎないように土の状態を見ながら灌水をします。乾くと順調な初期成長を妨げます。

ウ)除草−病害虫の棲家となる雑草の除去は、減農薬栽培では基本です。春草・夏草の除草に奮闘中です。
(左写真)

これからジベレリンによるタネナシ作業が始まります。
トッピクス
1.連休の好天にびっくり
今年度のHPについて、予定を4/28やっと太陽を拝み、4/29〜5/5まで快晴が続き、日中の気温も順調に回復。5/4には夏日となり、夜温も先日までの霜注意報 がうそのようです。
(写真はぶどうの早い花です。1本の木で咲き始めから咲き終わるまで、約2週間を要します。)
2.健康回復
神様にお休みをいただいたお陰で、すっかり体力、気力も回復しました。ぶどうの新梢の生長に連れられて、ぶどうと語らいながら 頑張っています。きっと今年も皆様のご期待に沿えるよう祈りながらの毎日です。
(写真は健康が回復して農薬を噴霧している研究所長)
3.排水工事完成
4月下旬より5月上旬にかけて念願の排水改善工事を行いました。でも、予測を超える集中豪雨の場合、災害が防げる のかどうか、下流の事情に左右されるため、心配が残ります。
あとがき
これから[月月火水木金金]の季節に入ります。植物の生長は自然の習性通り、人様の動きに関係なく、日一日と目に見えて 成長が加速されます。適期管理で成長を支えねばなりません。幸せなことに、若いスタッフの方とぶどう作りの仲間の支援を いただき感謝しています。ぶどうもきっと応えてくれる事でしょう。