研究所7〜8月の話題 |
7〜8月の管理 |
今年の7〜8月の気象の変わり様ほど自然の力の恐さと有難さを意識した年はありません。例年の夏は摘粒、袋かけが終われば収穫まで、少々休養もできましたが、今夏は多忙かつ不安定な毎日です。 (写真:出荷を待つ第二農園) |
|
☆異常な梅雨 | |
近年の梅雨は想定どおりの経過は望めません。今年は梅雨入りしても当地岡山は雨が甚だ少なく、かと言って日照時間は例年よりも少なく緑の産業には随分辛い天候が続きました。しかも、7月の梅雨明けがなく、7月末頃から8月中旬まで大雨続きで、局地的な豪雨が各地に発生しました。その頃熟す岡山の白桃は日照不足と湿害で泣かされました。お盆直前になって梅雨明け宣言、晴天はお盆後16日からでした。 (岡山、兵庫県に集中豪雨があったときの雨雲の様子) |
|
☆ぶどうの生育 | |
7月は日照不足でしたが、一日の温度較差が例年より大きく、熱帯夜も少なく、心配した割には生育は促進され、7月中旬頃までは粒の肥大、着色等、例年を上まわり、今季の期待は膨らみました。しかし、7月中旬頃からお盆まで長期間晴れ間のない曇天と長雨と過湿が続き、生長は足踏み状態となりました。中には一部、減農薬の結果か果実に腐敗病が現れ残念でした。 8月16日以降、天候回復が続いています。後、一週間好天がが続けば回復、挽回すると思います。収穫は例年並の8月下旬、早熟な涼玉、紫玉、ハイベリーは盆明け後の予定です。 (写真:瀬戸ジャイアンツ) |
|
☆管理 | |
例年なら、(1)定期的な潅水(2)ハウスの窓は全部開放と雨天時の閉開、(3)害虫、ハダニ類、トラガのスポット防除、(4)一部摘心等です。しかし、今夏は多雨、多湿と日照不足に起因する@生育生理の変化、A病害虫の発生、B温度、湿度の急変等に即応した以下のような管理が増えました。 具体的な内容 @生育生理の変化に関する管理 ・摘心 多湿と日照不足で、「わき芽(副梢)」の発生が多く、摘除が続きます。生長点を除去しないと果実に蓄えられる養分が芽の生長に奪われ、その結果、収量、品質の向上が妨げられ、成熟が遅れます。 ・潅水 悪天、好天で、葉面蒸散作用や土面蒸発で失われる水量の変化を考慮した潅水量の調節が必要です。ハウスは完全防水型ですから、雨の日も潅水しました。 A病害虫発生に関する管理 (左上写真) 地域では病害虫の発生が多いようですが、8月に入って予想外に病害虫の被害がでました。 ・7/14 CFW(殺菌効果のある水)全園散布 ・7/20 害虫防除 ZVP燻煙処理(ダニ類やトラガの幼虫 その他) 全園処理 ・カイガラムシのスポット防除 ・8/3 ハダニ防除 全園散布(コロマイト1,000倍液) ・裂果や腐敗果の除去 殺菌剤活用不足と通風、排水不良部分に一部成熟期を迎え、収穫直前の果実が裂果や腐敗が発生(左中央写真)。残念ながら、あとのまつりです。次年はこの教訓を生かした農薬の使い方と風通しを良くする必要があります。 (左下写真:除去されたハイベリー) B温度、湿度急変に関する管理 ハウスの横側窓は常に開放ですが、天井窓は雨のときだけに閉め平素は開放です。第二農場は雨と湿度変化に反応する自動開閉装置を装備していますが、第一農場ハウスは手動です。一日のうちに降ったり、照ったりの場合、その都度開閉を要します。濡らすと病気、照ればすぐ40〜50℃となり、高温障害を招きます。 C圃地周辺の除草 よく生え、よく伸びます。病害虫の発生を抑えるため、除草は毎月1回、定期的に行っています。ハウス内の草は手取りか鍬で通路や畦畔の草は草刈機と除草薬を使いました。 |
|
☆その他
|
|
「千客万来」27号の作成、発送 作況を見定めて作成しましたが、27号発送以降の悪天候は予想できませんでした。 8月下旬から発送作業が始まりました。 何号ハウスのどのぶどうが収穫できるかによって発送の箱の種類が変わります。1品種なら早いのですが、ほとんどのお客様は2〜3品種ご注文くださっています。送り間違いがないように…と、いただいた注文書とにらめっこして数量を把握しています。(写真上) 小学生をお持ちのスタッフ3名は夏休み。研究所は人手が少なく作業も滞りがち。教え子が土・日に応援にかけつけてくれました。写真下は2キロ箱のシールを貼っているところです。目に見えない影の仕事があり、とても助かりました。 |