研究所6月の話題
 気まぐれな梅雨です。皆様如何お過ごしでしょうか。お見舞い申し上げます。当岡山地方は梅雨とは言え今年も少雨傾向が続き、日照に恵まれ、自然の緑と同様ぶどうも健康で順調に育っています。

 すでに、ハイベリー、M.D.アモーレ、M.フルーレ、紫玉等、着色が始まりました、今年も美味で安全なぶどうを、安心してお届けできるものと期待しています。
(写真:木苺の花)
☆ぶどう生長と管理
6月は1日の日照時間が最も長く、気温も生育適温で較差が大きく、植物(Sぶどう)も最大成長期です。1日見ないと、その間の生長ぶりに驚かされます。そのため、ぶどうの生育ステージに合った、適期管理が要求されます。まさに1年で一番多忙です。今年の出来を左右する重要な時期だからです。遅くとも7月までには果房の手入れも終え、袋かけをする予定です。
(写真:りんご)






1)果房の手入れ・・・摘粒
各品種ごとに差があります。1粒の大きさ、1房の大きさ等目標に合わせ1房に成らせる粒数目標を立てます。自然のものは機械製品とは違い同じものは一つもありません。高度な知識と技術、体験による経験と肝(感)が必要です。粒は肥大が急で早く肥大空間を与えないと密着(粒数が多い場合)して肥大困難となり房や粒が裂け腐敗変形します。そのため適粒鋏で一房々、一粒々、必要な粒、不要な粒そして完成した房全体を考えて適粒しています。房の持ち方、鋏の使い方、目が疲れ、肩が凝る、暑いハウス内の立ち仕事、外から眺める人には理解されない厳しい作業です。しかし、成長するぶどうの姿に励まされます。スタッフ一同、一生懸命研鑽を積んで頑張っています。今年のぶどうの出来をご期待下さい。

2)枝の手入れ・・・摘心
土作りが十分なされた樹は、それなりに枝葉の繁茂状態・結実状況がよく、健全に生育し豊産を予感できます。6月は枝葉にとっても最大成長期です。そのため果実の成長との養分競合(実と葉が養分の取り合い)をします。
そこで、幼木は枝の伸長→骨格形成を主に考えて枝を伸ばしますが、成木は結果枝(実をつけた枝)として必要な枝葉が確保できた後は、競合を少なくし果実の生長と成熟を妨げるようなタイプの枝は、発生次第摘みとります。
実をならせている枝がいつまでも伸ると、実の生長が妨げられるので、1枝10節〜12節伸びたら摘心し枝の生長を停めます。これからもこの作業は収穫まで続きます。

3)養分・水分管理
@潅水
樹冠が大きくなり日照時間が長く高温化するに従って、葉面蒸散作用や土の表面からの蒸発等で水の消費が増えます。天気都合や土の条件等にもよりますが、毎日午前中に5〜7mm潅水を続けています。スタッフの方々が当番を決めて、二つのハウスの潅水を厳重にして下さっており、ズンズン実が太っていくのが楽しみです。

A養分補給
美味なぶどうに育てるには、養水分の追不足や偏りが起きないような管理が必要で、6月〜7月は葉の色や新梢形態の観察が大切です。生長期間が長期に及ぶため、余中、養分補給が必要となります。6月下旬に完熟骨粉、粕類の混合堆肥を「実ごえ」として与えました。

4)病害虫防除
今年は、殺虫・殺菌剤の混合液を下記のように施しました。

1回目:6/9〜12・・・トリフミン 病気防除(うどん粉病)
スタークル 害虫防除(スリップス・はまきむし)
2回目:6/29〜30・・・ヘニックス・コテツ 害虫防除(スリップス・カイガラ虫・トラガ等)
インダー 病気防除(うどん粉病)

これだけ管理していましたが、「花澤ローザ」の古い樹の状態が、どうもおかしいと気づき、普及所や農業センターのご指導も受けました。今迄にない事でしたからしばらく悩みましたが、白紋羽病ではないかと判明し、CFWの潅注をして防御しました。

☆その他
1見学者(上海から)
上海交通大学の王教授がぶどう園の経営者を連れて4名でご来園。「瀬戸ジャイアンツ」を是非育てたいと。熱心に質問をされかなり関心が高い事が伺えました。所長はもう上海へ飛んで行きたい様子でした。夢がまた広がり大変な事になりそうです。

2梅酒づくり
我が家を建てた時に植えた大きな梅(鶯宿)が、今年もまた沢山の実をつけてくれました。

友人・知人が要るだけ採った残りを、スタッフの皆さんが収穫して下さいました。『梅酒』は交通安全の上からも、ちょっと一口と言うわけにはいかないのと、お子さんが飲めないとあって、『梅ジュース』を沢山作りました。1粒ずつ洗うのが大変でした。しまいには腰かけを出して座って洗ったり拭いたり・・・・・。

「こりゃあ20キロはあるぞ!」と所長の一声で、お砂糖を沢山準備しました。作ってみたら、来年のジュース用のお砂糖はもう買わなくてもいいようです。

9月になったら、夏バテ防止でみなさんでいただきます!

3誕生会
満77歳を迎えた所長。スタッフの方々から大きなケーキをプレゼントされ、とっても嬉しそうでした。照れながらローソクを一息で吹き消し、「まだパワーがあるなあ。」と、自分で感心していました。

物のない時代に育ち、贅沢は一切しないでここまで来た所長。「汗を流さずに過ごして来た若者に似合わず、スタッフの方々が一生懸命に作業をして下さる姿を見るのは、とっても嬉しい!」と話しています